「幸福度」に影響あり?
近年様々な調査によって通勤時間と幸福度には深い関係があることが分かってきました。ある程度の通勤時間を超えると、心身にストレスが発生して仕事へのモチベーションが低下してしまうようです。
意志力の低下につながる
スイスの経済学者ブルーノ・フライとアロイス・スタッツァは、ストレスのかからない通勤時間は20分以下であるとしています。また、30分を超えるとストレスになるとしています。通勤時間が1時間以上の人が職場に歩いて通える人と同じ満足度を得るためには、歩いて通える人よりも40%以上多くの収入を得る必要があるそうです。また、通勤時間が45分を超える人は、そうじゃない人に比べて離職率が格段に高くなるというデータもあります。
通勤中は基本的に「我慢をしている時間」です。我慢が続くと人間の意志力は低下していきます。本来であれば仕事やプライベートにおいて使うべきである意志力を、職場に通うだけで消耗してしまっているのです。その結果、仕事もプライベートも充実したものにならず、幸福度が下がってしまうのです。意志力は有限です。そのため、限られた意志力を効果的に発揮するためにも通勤時間は短いほうがいいのです。
アメリカとイギリスの調査
アメリカで2013年に行われた調査によると、通勤時間が長い人ほど気分が沈みやすく、疲労感を感じやすい傾向にあることが分かりました。通勤時間が片道10分以内で悩みを抱えている人は3割もいなかったのに比べ、90分以上の人の4割以上が悩みを抱えていると回答したのです。2014年にイギリスが国民6万人に対して実施した調査でも、通勤時間が長い人ほど不満感が高く、特に1時間~1時間半かけて通勤している人にその傾向が多いことがわかりました。
通勤パラドックス
このように、通勤時間が長いほど幸福度は下がっていくことが分かっているのですが、多くの人は通勤時間が長いことによる苦痛を軽視している傾向があります。通勤時間が長くなっても構わないから郊外に住みたいと考える人が多いようです。しかし、実際に住み始めてから想像以上の苦痛に不満を感じている人が多いのです。これは「通勤パラドックス(commuting paradox)」と呼ばれています。転職や引っ越しの予定がある人はこういった点を踏まえて、「通勤時間はどのくらいになるか」をしっかり考慮しましょう。
以下に、通勤時間と幸福度の関係性についてより詳しいデータを紹介しているサイトを紹介しますので、興味のある方は参考にしてください。
- こちらの「BUSINESS INSIDER JAPAN」の記事に、アメリカやイギリスで実施した幸福度調査の結果が詳しくまとめられています。
- 幸福度調査の結果について詳しく知る